鮮魚もこだわって仕入、こだわって加工をしているからこそ、本当に美味しいものを食べて頂きたい、笑顔を届けたい、と思っています。だからこそ、解凍方法にもこだわって欲しいです。
解凍を失敗すると、色が悪くなったり、ドリップが出たり、臭いがしたりと、美味しいものも美味しくなくなってしまいます。失敗しない最適な解凍方法について説明します。
■氷水解凍のやり方と注意点
1)容器に水を張り、氷を入れる。商品が全て水に沈む程度の大きさの容器を選び、氷を入れた後 は、水温を0℃にするため少しかき混ぜる。
2)冷凍のまま氷水に沈める。まんべんなく氷水に触れさせるため、浮く場合はお皿などで全てが沈むようにする。
3)氷が溶けてなくなる場合は温度上昇を防ぐために氷を追加し、0℃前後を保つ。
4)解凍具合を確かめて、氷水から取り出す。氷水の中であれば、0℃付近で保たれているため、解凍後すぐに取り出さなくても品質劣化の心配はありません。
■魔の温度帯<-5℃~-1℃>と<10℃~40℃>
<-5℃~-1℃>の環境下では、食材の内部にできた氷結晶が大きくなってしまいます。その温度帯をゆっくりと解凍時に通過することで、大きくなった氷結晶が組織を傷つけ、食感が悪くなったり、ドリップが出てしまう原因となってしまいます。
<10℃~40℃>の環境下では、食材の酵素反応が活発になってしまいます。その酵素の働きによって、旨味を損なう恐れがあります。
■魔の温度帯を通り抜ける速度を短くして上手に解凍
一般的によく聞く解凍方法として、「自然解凍」、「流水解凍」、「冷蔵庫解凍」、「氷水解凍」、「加熱解凍」について考えてみます。
①自然解凍 常温環境に置いて解凍する方法
②流水解凍 食材を流水にさらして解凍する方法
③冷蔵庫解凍 冷蔵庫内に置いて解凍する方法
④氷水解凍 食材を氷水に漬け込んで解凍する方法
⑤加熱解凍 高温の熱を与えて解凍する方法
■結論「氷水解凍」が一番魚には良い!
①自然解凍は、ゆっくりと常温に近づいて変化し、表面と中心部で時間差ができるため表面部の酵素反応が活発になってしまいます。
②流水解凍は、熱伝導の高い水がまんべんなく接するため、食材に熱が伝わりやすく、流水で水も入れ替わることで早く解凍されますが、水道水は環境によって温度が違うため、夏場などは水温が高く10℃を超えるので表面で酵素反応が起こってしまいます。
③冷蔵庫解凍は、表面からゆっくりと解凍され、冷蔵庫内の温度帯の5℃に向かってゆっくり変化します。そのため、-5℃~-1℃の温度帯で長く留まる解凍になるため、氷結晶によるダメージが発生しやすくなります。
④氷水解凍は、食材の表面にまんべんなく熱伝導の高い水が接し、解凍スピードが速くなります。さらに、氷水に漬け込むことで0℃前後に保つため、酵素反応・氷結晶のダメージを受けにくい解凍となります。
⑤加熱解凍は、魔の温度帯は速く通過するものの、熱により変化する可能性が高く、魚などの解凍には不向きといえます。